目次
動物園獣医師の年収はいくら?
動物園獣医師の年収は、一般的な動物病院の獣医師と比べてどの程度差があるのでしょうか。ここでは以下の2項目から、動物園獣医師の年収についてご説明します。
- 動物園獣医師の年収は約500万円
- 獣医師全体の平均年収と比較
気になる年収の詳細について、具体的に解説していきます。
動物園獣医師の年収は約500万円
動物園で働く獣医師の年収は、管理運営団体によって異なるものの、平均的には400〜500万円程度です。
公立動物園では公務員としての給与体系が適用され、民間の動物園では各運営企業の給与規定によって設定されます。
民間の動物園に限ると、平均年収は400〜500万円で、一般的な獣医師と比較すると低い水準です。
獣医師全体の平均年収と比較
動物園獣医師の年収と獣医師全体の平均年収を比較してみましょう。
各種獣医師 | 年収 |
---|---|
動物園の獣医師 | 約400~500万円 |
動物病院の獣医師 | 約400〜600万円 |
製薬会社で働く獣医師 | 約700〜900万円 |
JRA(日本中央競馬会)の獣医職 | 約1,060万円 |
このように、動物園獣医師の年収は、獣医師全体の平均年収と比較すると低い傾向にあります。ただし、動物園の経営状況によっても収入は増減するため、転職を考える場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。
動物園の仕事内容
動物園獣医師の仕事内容は、獣医師としての専門性を活かした動物の診療から、飼育に関連する業務まで幅広く存在します。
ここでは以下の3つの業務内容について詳しく解説します。
- 動物の健康管理と診療
- 飼育管理業務
- 専門業務
それぞれの業務内容について見ていきましょう。
動物の健康管理と診療
動物園獣医師は、園内で飼育されているすべての動物の健康管理を行います。ゾウやキリンのような大型動物から、小鳥まで、さまざまな種類の動物を診る必要があるため、幅広い知識が必要です。
毎朝、動物たちの様子を見て回り、元気がなかったり、餌を食べていなかったりする動物がいないかをチェックしていきます。
異常があれば、血液検査や便の検査、レントゲン撮影などの診療を行い、病気やケガが見つかれば手術も行います。
このように、動物園獣医師は、数多くの動物を相手に健康管理と診療を行うやりがいのある仕事です。
飼育管理業務
動物園獣医師は、診療業務だけでなく、動物たちの日常的な飼育管理にも携わっています。
飼育員と協力しながら、動物たちの食事内容や量を決めるのも重要な仕事です。
たとえば、高齢の動物には食べやすい形状の餌に変更したり、体調が優れない動物には特別な栄養補給を行ったりするなど、動物の年齢や健康状態に合わせて飼育業務を行います。
診療や手術だけでなく、飼育面からも動物の健康をサポートするのが動物園獣医師の仕事です。
専門業務
動物園獣医師には、一般的な診療や飼育管理とは別に、以下のように動物園特有の専門的な業務もあります。
- 亡くなった動物の解剖
- 園内での感染症対策
- 動物を他の動物園に移動させる準備
解剖によって得られた情報は、他の動物たちの健康管理や飼育環境の改善に活かされます。また、園内での感染症対策も動物園運営には欠かせません。
このように一般的な獣医師とは異なる業務も、動物園にはあります。
動物園の獣医師になるメリット
動物園獣医師として働く場合、一般的な動物病院の獣医師とは異なる魅力があります。ここでは以下の3つのポイントから、動物園獣医師ならではのメリットについて解説します。
- いろいろな動物と触れ合える
- 地域に貢献できてやりがいがある
- 希少な動物の繁殖に携われる
一般の獣医師とは違うメリットについて、詳しく見ていきましょう。
いろいろな動物と触れ合える
動物園獣医師の最大の魅力は、一般の動物病院では出会えないような珍しい動物たちと関われることです。
たとえば、ペンギンやゾウ、キリンなど、普段では触れ合えない動物たちの診療に携われます。
ヘビの健康診断を行い、次はペンギンのケガの治療を行うなど、一日のなかでも多様な動物と触れ合えます。
そのため、獣医師として幅広い動物に対する知識と経験を積めるのがメリットです。
地域に貢献できてやりがいがある
動物園獣医師の魅力的な点として、地域社会への貢献度の高さが挙げられます。動物園は地域の人々に癒しと学びの場を提供する重要な施設だからです。
たとえば、動物園では、来園者向けの教育プログラムや体験イベントなどを実施しています。子ども向けの獣医師体験教室を開催したり、地域の学校での出張授業を行ったりするので、やりがいがあるでしょう。
このように動物園獣医師は、動物医療の専門家として地域に根ざした活動ができるのもメリットの1つです。
希少な動物の繁殖に携われる
動物園獣医師には、絶滅危惧種など希少な動物たちの繁殖プログラムに携わる機会があります。一般の動物病院では経験できない、動物園ならではのメリットです。
たとえば、チーターやゾウなど、特別な飼育環境が必要な動物の繁殖に成功した場合は、獣医師としてやりがいを感じられます。
一般的な動物病院では得られない、希少な経験を積みたい場合は、動物園獣医師として働くのはメリットになります。
動物園の獣医師になるデメリット
ここでは、動物園獣医師として働く際のデメリットについて以下2つを解説します。
- さまざまな動物を診療する必要がある
- 動物園によっては年収が下がる可能性もある
それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
さまざまな動物を診療する必要がある
動物園獣医師には、一般の動物病院とは異なり、あらゆる種類の動物を診療する幅広い専門知識が求められます。犬や猫の診療に慣れている動物病院の獣医師にとって、プレッシャーになるのがデメリットです。
たとえば、体重数トンの動物に対する投薬量の計算や、希少種の緊急手術など、経験のない判断を迫られるケースもあります。
動物園獣医師は、さまざまな動物と触れ合える一方で、高いスキルを求められるのはデメリットといえるでしょう。
動物園によっては年収が下がる可能性もある
動物園獣医師は、動物園の経営状況によっては、転職前よりも年収が下がってしまう可能性もあります。
そのため、転職の軸を年収に置いている場合は、注意が必要です。
たとえば、年収600万円以上の獣医師が、動物園に転職して年収が400〜500万円程度に収まってしまうケースもあります。
仕事内容や給与面など、あらゆる条件に納得ができたあとで、転職を検討するのがおすすめです。
動物園の種類と転職方法
動物園は、運営形態によって採用方法が異なります。ここでは動物園の種類と転職方法について、以下3つを解説します。
- 民間動物園
- 自治体管理の公立動物園
- 外部団体管理の公立動物園
それぞれの転職方法について詳しく見ていきましょう。
民間動物園
民間動物園への転職は、一般企業と同じような流れで進められます。ただし、獣医師の募集自体が少ないため、求人情報の収集が必要です。
たとえば、各動物園のホームページや求人サイトをこまめにチェックするとよいでしょう。獣医師の募集が開始されたらすぐに応募できます。
民間動物園には、以下のような種類があるので、ホームページを確認しておくのがおすすめです。
- 岩手サファリパーク(岩手県)
- 群馬サファリパーク(群馬県)
- 東武動物公園(埼玉県)
- 市原ぞうの国(千葉県)
- 富士サファリパーク(静岡県)
民間動物園を転職先として希望する場合、少ない募集チャンスを活かすために、こまめな情報チェックが欠かせません。
自治体管理の公立動物園
自治体管理の公立動物園で獣医師として働く場合は、公務員と同じ扱いになるため、公務員試験に合格する必要があります。
一般教養の試験も課されるため、転職を検討する場合は、試験対策が必須です。
また、自治体によっては、年齢制限を設けているケースもあるため、試験勉強を開始する前に対象かどうか確認しておくとよいでしょう。
外部団体管理の公立動物園
公立動物園のなかには、公益財団法人などの外部団体が管理・運営を行っているケースがあります。
たとえば以下は、公益財団法人東京動物園協会が管理している動物園です。
- 恩賜上野動物園(東京都)
- 多摩動物公園(東京都)
- 井の頭自然文化園(東京都)
外部団体が管理・運営している動物園は、運営団体の職員として働くため、民間動物園と同じく、採用試験を受ける必要があります。
募集求人は少ないため、見逃さないように、各動物園のホームページから採用案内を確認しておきましょう。
年収アップを狙うなら動物病院への転職もおすすめ
動物園への転職は、仕事内容を見ると、一般の動物病院とは異なるやりがいがあります。一方で、募集が少なく年収面にも課題があるため、年収アップを考えるのであれば、動物病院への転職を検討するのも選択肢の1つです。
動物病院への転職は、動物園と比べて転職のハードルが比較的低く、求人数も豊富にあります。
また、動物病院によっては、動物園からの診療依頼を受けているケースもあるので、転職先の条件に入れてみるのもよいでしょう。
もし、動物病院への転職も視野に入れるのであれば、獣医師に特化した「アニマルジョブ」のようなサイトがおすすめです。
アニマルジョブでは、複数の動物病院の条件を比較検討できるため、情報を集めれば、年収交渉もしやすいでしょう。
動物園獣医師への転職を検討する際、年収がネックになっているなら、動物病院への転職も視野に入れてみてください。
まとめ|動物園への転職は年収を比較してから検討しよう
動物園獣医師は、さまざまな動物の診療や希少動物の保護、地域貢献など、やりがいのある仕事です。
一方で、一般の獣医師と比べて年収が下がる可能性もあり、幅広い動物の診療に対応する必要があるなど、考慮すべき点もあります。
そのため、転職する際は、年収や求人状況など、現実的な面の比較が重要です。
動物園よりも転職ハードルが低い動物病院も視野に入れて、転職活用を行ってみてください。
転職活動の際、条件を比較する場合は、獣医師に特化している「アニマルジョブ」のような転職サイトがおすすめです。
豊富な求人情報から、自分に適した条件を見つけ出せるので、ぜひ活用してみてください。