目次
獣医師の将来性が期待できる根拠

獣医師の将来性が期待できる根拠は、以下のとおりです。
- 獣医師が不足している
- ペット関連産業が増加している
- ペットの健康管理の関心が高まっている
それぞれ詳しく解説していきます。
獣医師が不足している
獣医師の将来性が期待できる根拠として、獣医師不足の現状があります。厚生労働省の「職業詳細:獣医師」データによると、令和5年度の獣医師の有効求人倍率は2.32倍です。
有効求人倍率とは、仕事を探している人に対して、企業がどれくらいの求人を出しているかを示す指標です。獣医師の有効求人倍率は1を大きく上回っており、これは求職者よりも求人数が多いことを示しています。
つまり、現在は多くの現場が獣医師を必要としており、就職市場は獣医師にとって有利な状況となっています。また、獣医療の発展やペットブームにより、今後もその需要は続くことが予想されるため、獣医師の将来性はあるといえるでしょう。
ペット関連産業が増加している
獣医師の将来性が期待できるもう一つの理由は、ペット関連産業の増加です。
2022年に経済産業省が発表した「ペット産業の動向」によると、ホームセンターでのペット用品の販売額は増加傾向にあり、ペット関連市場が拡大しています。
ペット関連産業には、以下のようなものがあります。
- ペットフード
- ペット用医療機器
- トリミングサービス
- ペットホテル
- ペット葬儀
ペット関連産業が増加しているということは、ペットを飼う人が増えているとも捉えられます。そのため、獣医師の需要は高まっており、将来性があるといえるでしょう。
ペットの健康管理の関心が高まっている
ペットの健康管理への関心が高まっていることも、獣医師の将来性が期待される理由の一つです。
ペットの予防医療の啓発・普及活動を展開する獣医師団体Team HOPEが2023年に発表した「ペットの健康管理に関する実態調査」によると、ペットに定期的な健康診断を受けさせる飼い主は増加傾向にあり、犬は52%、猫は39%に達しています。
飼い主がペットの健康を大切に考え、予防医療や定期的な健康診断に積極的にお金をかけていることがわかります。こうしたペットに対する健康意識の高まりは、獣医師の将来性を支える要因の一つといえるでしょう。
獣医師は食えないといわれる3つの理由

獣医師の将来性はあるものの、獣医師は食えないという意見もあります。
獣医師が食えないといわれる理由は、以下の3つです。
- 人間を診療する医師より収入が低いため
- ペット用医療機器
- 労働環境が悪い職場があるため
- 日本の人口減少が進んでいるため
それぞれ詳しく解説していきます。
人間を診療する医師より収入が低いため
獣医師が食えないといわれる理由の一つは、人を診療する医師に比べて収入が低いためです。
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均月収は109万円であるのに対し、獣医師の平均月収は49.1万円と、約半分に留まっています。この収入差の背景には、獣医療には公的な保険制度が整備されていないことが一因として挙げられます。
動物の診療や手術は自由診療で行われるため、治療費が高額になることも少なくありません。そのため、飼い主が高額な治療を選択しないことがあり、獣医師の収入が上がりにくい状況になっています。
労働環境が悪い職場があるため
獣医師が食えないといわれる理由には、労働環境の悪さも関係しています。ペット医療DXを行う株式会社TYLが2022年に調査した「働き方に関する意識調査」によると、約7割の獣医師が「働き方改革がまったく進んでいない」または「ほとんど進んでいない」と感じています。
多くの動物病院では、劣悪な労働環境がいまだに問題視されており、長時間働いても、それに見合う報酬が得られない職場も少なくありません。このように、ホワイトな環境の動物病院が少ないことから、獣医師は食えないという印象を与えています。
労働環境を改善し、働きやすい職場を増やすことが、獣医師の将来性を高めるための重要な課題となっています。
日本の人口減少が進んでいるため
日本の人口減少が進んでいることも、獣医師が食えないといわれる理由の一つです。日本では人口減少が進行しており、ペットを飼う家庭も今後減少していくと考えられます。
飼育できる家庭が減少すれば、ペットの診療や健康管理を行う獣医師の仕事も減少することが予想されます。こうした社会的変化に伴って、十分な患者数が確保できなくなり、獣医師としての収入安定が難しくなる可能性もあるでしょう。
このような背景から、日本の人口減少が進行する中で、獣医師の需要が減るのではないかと不安視する人もいます。
獣医師が将来性を高める5つの方法

獣医師が将来性を高める方法は、以下の5つです。
- 認定医の資格に挑戦する
- 獣医師としての経験値を上げる
- 管理職を目指す
- 開業獣医師になる
- 他の動物病院へ転職する
それぞれ詳しく解説していきます。
認定医の資格に挑戦する
獣医師が将来性を高める方法の一つは、認定医の資格に挑戦することです。特定の分野に特化した認定医は、その分野の専門家として評価され、飼い主から信頼を得やすくなります。
獣医師の認定医資格には以下のようなものがあります。
- 獣医腫瘍科認定医
- 日本獣医皮膚科学会認定医
- 獣医行動診療科認定医
- 獣医内科認定医
- 獣医外科認定医
- 動物麻酔技能認定医
資格を取得することで、昇給や病院での役職アップにつながる可能性もあります。
獣医師求人サイト「アニマルジョブ」では、認定医の資格取得を支援する制度を設けている求人も掲載されています。認定医の資格取得を目指せる求人を探している方は、ぜひチェックしてみてください。
獣医師としての経験値を上げる
獣医師が将来性を高めるためには、経験値を上げることも大切です。一次診療の動物病院で働くことで、幅広い診療経験を積むことが可能です。また、臨床スキルと判断力が養われ、獣医師としての自信にもつながります。
さらに、獣医療の技術は日々進化しており、新しい治療法や診断機器が次々と登場しているためには、常に最新情報を取り入れて、知識をアップデートすることも重要です。
そのため、セミナーや勉強会に参加して、業界の最新トレンドも学ぶことも不可欠です。また、同じ目標を持つ獣医師と交流することで、新たな学びも得られるでしょう。
管理職を目指す
獣医師としての将来性を高めるために、管理職を目指すのも一つの方法です。管理職になると、動物の診療だけでなく、病院の運営やスタッフの育成にも関わることができ、キャリアの幅が広がります。
さらに、経営やマーケティングの視点から病院運営のスキルを身につけることも可能です。これにより、治療方針の策定や病院の効率的な運営にも貢献できるようになります。
管理職を目指すことで、キャリアアップの機会が増え、獣医師の将来性を高められるでしょう。
開業獣医師になる
獣医師が将来性を高める方法として、動物病院を開業する方法もあります。開業することで、医療提供の自由度が増し、動物に対して自身の信念を貫いた治療を行うことが可能になります。
また、地域社会に貢献しながら、自分自身のブランドを築くことも可能です。ただし、開業獣医師になるためには、市場調査や立地選定、事業計画の策定が必須です。
これらをしっかりと準備すれば、安定した経営と地域からの支持を得られるでしょう。開業は挑戦でもありますが、経営が軌道に乗れば高収入も目指せます。
獣医師が開業前に確認すべきポイントについては「動物病院を開業した獣医と勤務医の年収を比較!年収アップの秘訣3選も紹介」で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
他の動物病院へ転職する
獣医師として将来性を高めるために、他の動物病院へ転職する方法もあります。今の職場で理想のキャリアを築けないと感じているなら、早めにキャリアを見直すことで将来の可能性を広げられます。
転職活動においては、まず転職で何を実現したいかを明確にすることが大切です。職場環境の改善、専門領域の確立、知識の習得など、希望条件を明確にすることで、自分にとって最適な職場を見つけられるでしょう。
獣医師特化の求人サイト「アニマルジョブ」では、動物病院の求人を豊富に取り揃えています。さまざまな症例の治療経験を積みたい方は、ぜひ気になる求人に問い合わせてみてください。
獣医師が将来性のある職場を選ぶためのチェック項目

獣医師として活躍し続けるためには、将来性のある職場に身を置くことも大切です。
獣医師が将来性のある職場を選ぶためのチェック項目は、以下のとおりです。
- 顧客からの評判がよい
- 最新の医療機器を導入している
- 研修制度が整っている
それぞれ詳しく解説していきます。
顧客からの評判がよい
獣医師が将来性のある職場を選ぶ際には、顧客からの評判がよい動物病院を選ぶことが重要です。評判のよい病院は飼い主から信頼されている証拠であり、リピーターが多いため、安定した収入が期待できます。
また、評判の良さは獣医師やスタッフの技術力の高さを示しており、こうした環境で働くことは獣医師自身のスキルアップにもつながります。
評判を確認するには、口コミサイトで顧客の声をチェックするのがおすすめです。また、その病院を利用したことがある知人から意見を聞くのも一つです。これらの情報を活用して、将来性のある職場を選びましょう。
最新の医療機器を導入している
獣医師が将来性のある職場を選ぶ際は、最新の医療機器を導入しているかどうかも重要なチェックポイントです。最新の医療機器を導入している職場は、動物医療の質の向上に積極的に取り組んでいる証拠です。
このような環境で働くことで、獣医師のスキルも向上し、専門知識を深めるチャンスが得られます。
最新の機器を導入しているかどうかは、病院の公式ホームページをチェックしたり、面接や実習で病院を訪問した際に確認するとよいでしょう。
研修制度が整っている
獣医師が将来性のある職場を選ぶ際に、研修制度が整っているかどうかを確認することも重要です。研修制度が充実した職場には、新しい知識や技術を学ぶ機会が豊富に用意されているため、幅広い症例に対応できるようになります。
また、充実した研修制度は、獣医師の成長をサポートし、キャリアアップを後押ししてくれます。病院の求人情報や面接で研修制度の内容を確認し、将来につながる環境を選びましょう。
まとめ|学び続けて獣医師としての将来性を高めよう

獣医師は不足しており、ペットの健康管理や関連産業の需要がますます増えているため、獣医師の将来性はあるといえます。
ただし、獣医療の分野は日々進歩しているため、獣医師は常に学び続ける必要があります。将来性を高めるために、資格取得や昇進、開業をなどの方法もありますが、他の動物病院へ転職して経験を積むのもよいでしょう。
業界最大級の獣医師求人サイト「アニマルジョブ」では、全国の動物関連求人を取り扱っています。研修制度の整った職場も豊富に取り揃えているので、転職を考えている方はぜひご利用ください。学び続けて獣医師としての将来性を高めていきましょう。