目次
【雇用形態別】獣医師の働き方を3つ紹介
獣医師の働き方は、主に以下の3つの雇用形態に分けられます。
- 正社員
- 契約社員
- アルバイト・パート
それぞれ詳しく解説していきます。
1.正社員
正社員として働く獣医師は、雇用環境が安定している点が魅力です。社会保険や各種手当が充実しており、給与も安定しているため、経済的な安心感を得られます。
また、職場によっては研修や勉強会への参加が奨励されており、スキルアップの機会が豊富です。そのため、長期的なキャリアを築きたい獣医師に、正社員は適しているといえます。
ただし、正社員の獣医師は緊急対応により労働時間が長くなることがあります。そのため、ワークライフバランスを重視する獣医師は、労働条件や勤務時間を事前に確認し、自分の希望に合った職場を選びましょう。
2.契約社員
契約社員として働く獣医師は、一定期間の雇用契約を結んで勤務します。そのため、定期的な契約更新が必要となり、場合によっては契約が更新されず雇用が不安定になることもあります。
仕事自体は正社員と同等の業務を任されることが多く、臨床経験や専門知識を深めるチャンスが豊富です。また、勤務時間が長くなりすぎず、自分のライフスタイルに合わせて働きやすい点も魅力です。
ただし、給与や福利厚生が正社員よりも劣ることがあるため、労働条件を十分に確認しましょう。長期的にキャリアを考える場合は、契約期間や更新条件も含めて慎重に検討する必要があります。
3.アルバイト・パート
アルバイトやパートタイム勤務は、フルタイムでの勤務が難しい獣医師におすすめの働き方です。短時間勤務や週数日の出勤が可能なため、ライフスタイルに合わせて働きやすく、家庭との両立もしやすいでしょう。
時給制を採用している求人が多く、正社員と比べると福利厚生が少ないことが一般的です。そのため、安定した収入を求める方にはあまり適していません。
また、職場の方針により、業務範囲が限定されている場合があるため、仕事内容は事前に確認しておきましょう。なお、アルバイトやパートタイムではなく「非常勤」として求人に掲載される場合もあります。
【職場別】獣医師の働き方を3つ紹介
獣医師の働き方は、主に以下の3つの職場に分けられます。
- 動物病院
- 公務員・団体職員
- 民間企業
それぞれ詳しく解説していきます。
1.動物病院
獣医師の職場として代表的なのは動物病院です。動物病院では、正社員、契約社員、アルバイト、パートなど、働き方の選択肢が豊富にあります。
動物病院で働く獣医師の主な仕事内容は、以下のとおりです。
- 診察や治療
- 予防接種
- 健康診断
- 手術や入院治療
- 飼い主へのアドバイス
一般診療だけでなく、予防接種や手術、入院治療にも携わるため、幅広い獣医療を経験できます。また、飼い主とコミュニケーションを取る機会が多く、対人スキルも重要です。
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2.公務員・団体職員
公務員として働く獣医師は、国家公務員、都道府県職員、市町村職員の3つに分かれます。
具体的な公務員の勤務先は以下のとおりです。
- 農林水産省
- 地方自治体
- 食肉衛生検査所
- 家畜保健衛生所
- 動物愛護センター
公務員獣医師は主に、動物の健康や公衆衛生に関する業務を担当しています。また、団体職員として働く獣医 師は、大学の獣医学部や農業協同組合、競馬場などで勤務しています。
公務員や団体職員の獣医師の魅力は、安定した雇用と給与です。ただし、アルバイトやパート求人は少なく、フルタイムでの勤務が主流です。
3.民間企業
民間企業で働く獣医師の具体的な勤務先は、以下のとおりです。
- 製薬会社
- 食品会社
- 飼料会社
- ペットフードメーカー
- ペット保険会社
医療現場とは異なる視点で獣医学に関わり、製品の研究開発やマーケティング、営業など多様なキャリアパスが用意されています。また、企業の業績に左右されるものの、安定した雇用と給与を期待できるのも魅力です。
求人は正社員や契約社員が多く、アルバイトやパートの募集はあまり見られません。しかし、時短勤務や産休・育休制度が整った企業を選ぶことで、生活の変化に応じて柔軟に働けるでしょう。
獣医師の働き方でよくある悩み3選
獣医師の働き方でよくある悩みは、以下の3つです。
- 労働時間が長い
- 休暇が取りづらい
- 仕事と家庭の両立が難しい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.労働時間が長い
動物病院で勤務する獣医師は、診療や手術、救急対応など、業務が多岐にわたり、労働時間が長くなりがちです。
ペット医療DXを行う株式会社TYLが2022年に実施した「働き方に関する意識調査」によると、約7割の獣医師が「獣医療業界は働き方改革がまったく進んでいない」と感じています。
また、働き方について3割以上の獣医師が「長時間労働だと感じる」と回答しています。
労働時間の長さは、獣医師の健康やプライベートに影響を及ぼす切実な悩みです。職場環境の改善が難しい場合は、労働条件の整った動物病院への転職を考えてみるのも一つの選択肢です。
2.休暇が取りづらい
動物病院では、人材不足により休暇を十分に取れていない獣医師も少なくありません。
株式会社TYLが2023年に行った「獣医師の働き方に関する意識調査」によると、獣医師の約6割が「獣医療業界は人材不足だと感じている」と回答しています。そのうち、6割以上の獣医師が「有給休暇が取れない」「休暇が取れない」と感じていることが判明しました。
とくに小規模な動物病院では、スタッフが一人休むだけで業務が回らなくなることが考えられます。十分な休暇が取れないと、心身の疲労が蓄積し、最終的には離職の原因にもなりかねません。
3.仕事と家庭の両立が難しい
獣医師として働く中で、仕事と家庭の両立が難しいと感じる方が多いのも現実です。前述したように、動物病院では長時間労働が多く、育児や家事との両立が困難を困難にしています。
とくに女性獣医師は、出産や育児を経て職場に復帰する際、仕事と家庭のバランスを取ることが大きな課題です。2024年の農林水産省の資料によると、獣医師の年代別男女比では、20代の女性獣医師は54.8%と半数以上を占めていたのに対し、30代では43.9%に減少しています。
参考:農林水産省「獣医事をめぐる情勢」
獣医師が仕事と家庭を両立させるためには、時短勤務やパートタイムへの切り替えなど、ライフステージに応じた働き方の見直しが重要です。
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獣医師が自分に合った働き方を見つける3つの手順
獣医師が自分に合った働き方を見つける手順は、以下の3つです。
- 理想のライフプランを明確にする
- ライフプランに合った獣医師の働き方を考える
- 労働条件に優先順位をつける
それぞれ詳しく解説していきます。
1.理想のライフプランを明確にする
獣医師が自分に合った働き方を見つける手順として、まずは理想のライフプランを明確にしましょう。ライフプランを描くことで、自分にとってベストな働き方を見極められます。
たとえば、以下の項目に対して自分の価値観を整理してみましょう。
- キャリアアップを重視したいか
- 家庭との両立を重視したいか
- 趣味の時間を大切にしたいか
ライフプランを描くことで、次の雇用形態や勤務時間などの選択がスムーズになります。
キャリアップを目指すなら、幅広い症例を経験できる職場や研修制度が充実している職場が適しています。一方、家庭との両立を重視するなら、柔軟な勤務形態や休暇制度の整った職場がよいでしょう。
2.ライフプランに合った獣医師の働き方を考える
理想のライフプランを明確にした後は、理想のライフスタイルや将来の目標に対して、どのような働き方が適しているかを考えましょう。
具体的には、以下の項目の希望条件を洗い出してみてください。
- 給与
- 福利厚生
- 雇用形態
- 勤務時間
- 勤務地
- 職場の種類
- 教育制度
たとえば、家庭との両立を重視する場合は、自宅近くの職場やパートタイム勤務が適しています。ライフプランに合った働き方を選ぶことで、長期的なキャリア形成がしやすくなります。理想の働き方を実現するためにも、じっくり考えてみましょう。
3.労働条件に優先順位をつける
最終ステップとして、先ほど洗い出した希望条件に優先順位をつけましょう。優先度の高い条件から番号をつけることで、求人情報を絞り込む際の判断基準が明確になります。
また、獣医師として働くうえで、どの要素が自分のモチベーション維持につながるかを考えましょう。譲れない条件とできれば叶えたい条件を分けて考えると、職場選びで迷いにくくなります。
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獣医師の働き方の幅が広がるおすすめの資格
ここでは、獣医師の働き方の幅が広がるおすすめの資格を紹介します。
獣医師におすすめの資格は以下のとおりです。
資格名 | 内容 |
---|---|
獣医腫瘍科認定医 | 動物の腫瘍(がん)に特化した 診断や治療法 |
日本獣医皮膚科 学会認定医 |
動物の皮膚疾患に特化した 知識や治療法 |
獣医行動診療科 認定医 |
獣医動物行動学の専門知識により、行動上の問題を持つ動物に対して 適切なアプローチを行うための技術 |
獣医内科認定医 | 動物の内科疾患に特化した 知識や治療法 |
獣医外科認定医 | 動物の外科疾患に特化した 知識や治療法 |
動物麻酔技能 | 動物の麻酔に特化した 知識や技術 |
自分の興味のある分野を勉強して専門性を高めることで、実際の診療において飼い主からの信頼を得やすくなります。
また、将来的に特定の分野に特化したいと考えている獣医師は、認定医の資格が転職活動においてアピール材料として役立ちます。とくに二次診療の動物病院への転職では有利になりやすいでしょう。
ただし、受験条件に臨床経験年数などの規定があるため、あらかじめ確認しておきましょう。
まとめ|獣医師の選択肢を理解し理想の働き方を実現しよう
獣医師の働き方の選択肢を6パターン紹介しました。獣医師の雇用形態は正社員、契約社員、アルバイト・パートの3種類あります。また、職場別では動物病院、公務員・団体企業、民間企業の3種類があります。
獣医師を長く続けるためには、ライフステージの変化やキャリアの方向性に合わせて定期的に職場環境を見直すことが大切です。
個々の状況に応じた働き方を見つける方法として、まずは理想のライフプランを明確にし、目指す獣医師像に合った労働条件を洗い出しましょう。さらに、希望条件に優先順位をつけることで、職場選びがスムーズに進みます。
獣医師として活躍し続けるためにも、その時々に合わせた働き方を柔軟に選んでいきましょう。